学校長あいさつ

校長 仲井 章

めざすは「21世紀型学力」の育成

 本校は、東京オリンピックが開催された昭和39年に富山女子短期大学付属高校として開校し、平成4年には男女共学の富山国際大学付属高校と校名変更して現在に至っています。また、本校は、富山国際大学、富山短期大学、みどり野幼稚園などが属する学校法人富山国際学園という総合学園の一員です。開校以来、校訓として、「志高く 知性を磨き 明るく 清く 健やかに」を掲げ、この校訓のもと、素直な心をもって世界の人々と接することができる爽やかではつらつとしたグローバルリーダーの育成を目指しています。

 富山国際学園は「情報化」と「国際化」の二つを人材育成の基本テーマとしています。この2つのテーマのもとで富山国際大学付属高校が推進しているのが、ITと英語の活用能力の育成です。そして、身の回りで起こる様々な事象、問題を自分の問題として見つめ、分析し、課題を見つけ、解決策を探る姿勢、すなわち、「探究する心」をすべての教育活動で育て、その中で形成されるしっかりとした「自分自身の意見」を、ITと英語というコミュニケーションツールを用いて堂々と世界に向けて発信する力を育成することを目指しています。さらには、校内に形成された「多文化共生社会」の中で日常的に行われる異文化交流を始めとして、海外の多くの姉妹校との交流や留学、海外研修を通して、日頃の学習の成果を総合的に試すと同時に、異文化との接触の中で、より柔軟でしなやかで、バランス感覚に富んだ国際人が育まれていくのです。こうした本校の教育方針は実に見事にプログラムされたものであり、なかなか他に類を見ないものであろうと自負しています。21世紀社会、それはICTやAIなどの進歩を通して、ボーダーレス化、グローバル化が急速に進み、時々刻々とその姿を変えています。その中で日々私たちの目の前に現れる課題は、答えのない課題ばかりで、これまでの経験が効かない、いわば道なき道を行くしかない状況を私たちに突き付けています。2年以上にわたって全世界が克服に向けて必死に取り組んできた新型コロナウイルス(COVID-19)の問題はその典型ですし、地球温暖化の問題も全世界が取り組まなけらばならない難問です。国内に目を転じれても、少子化の問題など、未だに有効な解決策が見い出せない難問が山積しています。だからこそ、道なき道を行こうとする力、すなわち、問題に直面しても、ひるまずに分析し課題を見つけ、解決を図っていこうとする探究力が求められています。富山国際大学付属高校は、SDGs、ユネスコ活動、探究活動などの校内外、教育課程内外の様ざまな学習活動を実施しています。しかも、全ての教科学習にSDGsに関連づけて横串を刺し、全ての学習に一層の意義づけをしています。そうすることで生徒たちは、日頃からすべての問題を自分の問題として見つめ、自分なりの解決策を探る姿勢を身に付けていくのです。それがグローバルな視点で問題を解決していく力につながっていくものと確信しています。

 こうして身に付けた思考力と判断力から形成されていく自分自身の意見を、ITと英語力というツールに乗せて発信していきます。本校では、入学時に生徒全員がタブレットとキーボードを購入し、高速無線LANが完備した校舎内で、言葉を話すようにスムーズにITを活用しています。もはやITは特別なものではなく学習と切り離せないものとなっています。そしてかつて文部科学省のSELHiの研究指定校に2度指定されたことのある本校は、ネイティブの英語教諭を配置するなど、英語教育に非常に力を注いでいる学校です。そのうえで本校の持つもう一つ大きな魅力は、小さな教室で学んだことを大きなグローバルな社会で役立てることができるようにと、実践の場として学校内に「小さな地球=小さな多文化共生社会」を創り上げるために様々なことに取り組んできたことが挙げられます。積極的な多国籍生徒の受け入れ、長期間の留学の推奨、海外の姉妹校とのオンライン交流や相互訪問、海外の提携大学のオンライン講座の受講など、ダイバーシティな環境づくりに日々取り組んでいます。授業で学んだ「知識」を、グローバルな環境での交流活動を通して定着させ、「知恵」へと高めていきます。そしてそれが、より柔軟でしなやかで、バランス感覚に富んだ国際人の育成につながっていくのです。

 富山国際大学付属高校で実践されているこれらすべての教育活動が混然一体となって、今求められている、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」、生きて働く「知識・技能」という「学力の3要素」の全てに見事に応えるものであり、これこそが、「21世紀型学力」であると確信しています。その意味で、本校は、全国的に見ても極めて先進的な取り組みをしている学校なのです。

 中学生の皆さん、さあ、今度は皆さんの番です。比類のないこの素晴らしい教育環境に是非とも身を置いてください。心からお待ちしています。

富山国際大学付属高等学校
校長 仲井 章