学校長あいさつ

校長 仲井 章

本校教育には一連のストーリーがある

 本校は、東京オリンピックが開催された昭和39年に富山女子短期大学付属高校として開校し、平成4年に男女共学の富山国際大学付属高校と校名変更して、今年開校60周年を迎えます。また、本校は、富山国際大学、富山短期大学、みどり野幼稚園などが属する学校法人富山国際学園という総合学園の一員です。開校以来、「志高く 知性を磨き 明るく 清く 健やかに」との校訓のもと、素直な心をもって世界の人々と接することができる爽やかではつらつとしたグローバルリーダーの育成を目指しています。

 富山国際学園は「情報」と「国際」の2つを人材育成の基本テーマとしています。これらのテーマのもとで富山国際大学付属高校が推進しているのが、ICTと英語の活用能力の育成です。国際高校と言えば、ICT教育と英語教育と言われるほど、本校教育の代名詞となっています。しかし、これら2つはコミュニケーションツールであるということが重要です。ですから、これらのツールを用いて、「何を、どう考え、どう伝えるか」という課題を常に意識しなければならないと考えています。そこで、この課題に応えるための「不可欠な3要素」の育成に力を注いでいます。その3要素とは、「批判的思考力」、「考え抜く姿勢」、「実践力」のことを言い、これらを育むために、3つの「探究」への取り組みを常に意識しています。本校では「国際高SWITCHを入れる3つの探究」と称して、教科学習、課題研究、課外活動、国際交流など、全ての教育活動を総動員して、国際高SWITCHが入るような活動、すなわち、生徒の意識や行動の変化が起こるような、「心のエンジンが駆動する」ような多くの体験活動を仕組み、必要とされる能力の探究に努めています。

 第1に、「批判的思考力」の育成のための「探究」です。その中では、教科学習で知識を深めるとともに、SDGsの観点等から周囲のあらゆる事柄に関心を持ち、必要に応じて教科横断的に知識に横串を刺し、対象となる事柄について、その本質を見極め、多角的、論理的に思考して、その前提から疑う「批判的思考力」を身につけることを目指します。この批判的思考力は「問題発見力」につながっていきます。この「批判的思考力」は教科学習だけでなく全ての活動の中で磨いていきます。

 第2に、「考え抜く姿勢」の育成のための「探究」です。この中では、これからの、変化が激しく、不確実で、複雑で、曖昧な時代(VUCAの時代)において、より良い社会をつくるために、地球規模の諸問題や課題について、地球市民の一員として、グローカルな視点で、自分に何ができるか、何をしたいかを常に模索し、何とかしてその解決の糸口を見出そうとする意欲と積極性と使命感を高め、独自の解決策を発案できる力を身につけることを目指します。

 第3に、「実践力」の育成のための「探究」です。周囲のことを自分事として批判的に考察し、問題を見つけ、その解決のためにはどうしたらいいかをとことん考え抜き、自分なりの解決策を持つに至るならば、いよいよ実現にまでもっていく段階に入らねばなりません。そこで、自らの考えを発信し、他者の意見や考えを理解し、受け入れ、違いを乗り越えるという交渉の過程で、バランス感覚を高めつつ、好ましい関係を形成し、協働して目的を達成できる力を身につけることを目指します。本校では、文化の異なる人々との学び合いや交流、コミュニケーションが多いので、その中でより深い関係形成力が身についていくはずです。

 「批判的思考力」、「考え抜く姿勢」、「実践力」の育成までの一連の流れの中で、そして実社会での問題解決の取り組みの中で、コミュニケーションツールとしてのICTや英語の活用能力が大いに役立つ場面があるはずです。また、解決策を実現させた際の成功体験について、必ずどこかの場面でICTや英語を使って堂々と発表したり、発信したりすることがあるでしょう。コミュニケーションツールを使いこなし、逞しく未来を切り拓く望まれる人物像がそこにはあります。

 VUCAの時代を生き抜かねばならない若者たちには、本校での一連の学びの中で育まれた「課題解決力」は大きな武器になるはずです。また、その中に包摂されているコミュニケーション能力や行動力、寛容性や対応力といった「しなやかな心」や本校ならではの異文化理解と多文化共生力は、間違いなく、グローバルリーダーに不可欠な資質として大きな力を発揮するはずです。しかも、ICTと英語というツールを使いこなせるとあれば尚のこと大きな強みとなるのです。

こうした一連の人材育成のストーリーをもって教育を展開している富山国際大学付属高校は、全国的に見ても極めて先進的な取り組みをしている学校であると自負しています。

 中学生の皆さん、さあ、今度は皆さんの番です。比類のないこの素晴らしい教育環境に是非とも身を置いてください。心からお待ちしています。

富山国際大学付属高等学校
校長 仲井 章